「お前には手を焼かされたが、過去最強の弟子だ」
「おちこぼれだったが、教えたことを最も理解してくれた。弟子に持って誇りに思う。」
ド⚪︎クエ関連の漫画における、師匠が(現在第一線で活躍している)魔法使いに向けた言葉である。
時代は変われど、外科と呼ばれる科には徒弟制度が残っている。職人であるが所以だろう。
今の分野に足を踏み入れて3年。新しい上司に変わり半年が過ぎようとしている。自分は不出来な魔法使い、上司は熟練の師匠という図が、あの漫画に似ている。教科書や論文といった座学、外来や手術という実践によって日々研鑽しているつもりであるが、まだまだ独り立ちできるレベルではない。
ある日、珍しく残業があり、一息ついた時に言われた。
この分野は大変だろう。もっと楽なところはいっぱいあるのに、なんでこんなとこ選んだんだろうと自分でも思う。先生は今ならまだ進路変更できる年齢だよ(笑)
苦笑いするしかなかった。口調からして嫌味ではなく親切で言ったものと思うが、この先が遠いことだけはわかった。
今の自分のレベルには辟易するが、とりあえず見捨てられてはいない以上、なんとか喰らいつくしかない。いつか、ああいうセリフを言わせてみたいもんだ。
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