動物が可愛いのはその姿だけでなく、しゃべらないからだという意見がある。
確かに、愛犬が自分の悪口を言ったり秘密を暴露するような光景は見るに耐えない。自分の愚痴を一方的に聞いてくれる仕草に癒されるという人もいるかもしれない。そして我が子も、まだ話せないうちが一番いいのだろうと勝手に思っていた。
しかしながら、そんな都合のいい時間は長くは続かない。幸い、1歳半を過ぎて少しずつ1語文を話せるようになってきた。ママ、パパ、ばば、じじ、ない・・・意味をなす言葉はわずかであるが、話せる言葉が確実に増えてきている。
住居が大通り沿いにあるため、よくサイレンの音が聞こえる。息子にも聞こえるようで、あ!あ!とか、おー!とか呟いていたが、その次の段階が来た。
ぱーぷ!ぱーぷ!!ぱーぷ!!!
初めはなんのことだかわからなかったが、救急車や消防車のおもちゃを走らせながら声を出しているのを見て、ようやくわかった。
大人にはピーポーパーポーと聞こえるが、それとは違って聞こえるのだろうか。サイレンが聞こえるのに合わせても、同じ声を発するようになった。
もちろん、これは成長の段階における今だけの現象だろう。未完成の美学ともいうべきか、少し話せるというのもなんと愛くるしく、心が躍るんだろう。この瞬間を噛み締めるんだと誓った。
妻にも言われた。
話せないのが一番なんて言ってたの、誰だっけ?
リンク