息子が寝る前は、いつも面倒だ。
最大の難所はやはり歯磨きだろう。それまでニコニコ動き回っていたのが、歯ブラシを見せた途端に逃げ惑う。体を捻ったり、手を出したり、首を動かしたり、口を閉じたり、あらゆる方法で抵抗してくるところを押さえつけ、口を開けて嫌がる中、一心不乱に磨く。鏡を見せればいい等、歯磨きのアドバイスを聞いたことはあるが、どれを試してもうまくいかなかった。乳歯が虫歯になっても永久歯が生えればいい、なんてことはないらしい。口腔内の清潔は老若男女必須のことであり、拒否することは許されない。心を鬼にするしかない。上の歯ぁ〜下の歯ぁ〜などと、最初はあの歌を歌うこともあったが、今はもう何も喋らず素早く磨くことにしている。
息子にとってはほとんどの回で泣きわめくことになる苦痛の儀式であるが、終わったあとは放心状態にならずに即、おしゃぶりやミルクを要求するのがメンタルの強さを感じる。気まぐれもあり自分で歯を磨くことはあるが、歯ブラシをくわえながら走ると危ないためとてもハラハラさせられる。まだまだ”仕上げはお父さん”である。それが終わると寝かしつけになり、1日の終わりを実感する。今日もまた無事に終えることができてよかったと、思うのだ。