幸い我が子はまだなったことがないが、子供の腕を引っ張ったら腕を上げなくなった、転んだのかぶつけたのかわからないがいつの間にか腕が上がらなくなった、痛くて泣いている・・・などというエピソードで受診するのはたいてい肘内障である。好発年齢は2-6歳らしいが、1歳以下や小学生低学年でも普通にいる。再発もしばしばある。
レントゲン不要で整復も(慣れた医師なら)そこまで難しくはなく、医療点数もそこそこ高いため、通常困ったことはない。クリック音を確認して患肢挙上ができれば帰宅可能としている。
しかし、しばしば困ることがある。それは、「そんな(簡単そうな)整復なら私にもできそうなので、今度から病院には行かず、お家でやってみます」という、医師でない親だ。さらに厄介なのは、やり方教えて下さいと、その場で言ってくる人もいることだ。そのような場合には、基本的に病院受診を勧めている。なぜなら整復は簡単そうに見えて、力加減などある程度の経験が必要と考えるからだ。また、骨折している場合はおそらく禁忌であるため、受傷起点などから骨折がないであろう確信が得られなければ恐ろしくてできない。整復してもできた感覚がなく、腕を上げない場合もある(その際は無理せず経過観察し再診予約を取るようにしている)。以上はもちろん今まで出会った上司達の教えを守り、自分で確立したものである。
例外として、親が医師なら自己責任で整復をしてもよいかと考える。そもそも受診はしないだろうけれども。
とにかく、小児の外来は地雷が沢山あるため、大人以上に注意が必要だ。